先日「臨床医のためのAI入門 Ver. 202401」というタイトルの院内レクチャーを行いました。
この1年とすこし,生成系AI界隈では毎月のようにブレイクスルーが起こっており,情報収集→試行錯誤を繰り返すプロセスはとても楽しいです。今回レジデントたちから「ChatGPTの使い方を学びたい」という相談を頂いたのをきっかけに基本知識の確認,ツールの紹介と使い方,今後の展望について自分が勉強したこと,考えていることをまとめました。
参加者のフィードバックを総括すると,まだまだ多くの臨床医が「生成系AIを活用するハードルは高い」と感じていることがわかりました。また反省点としては「生成系AIを使い慣れていない臨床医」をターゲットに構成を考えたつもりだったのですが,あれもこれもと詰め込んだ結果,情報過多になってしまいました。。。
幸い,数名の先生から「ChatGPT Plusに登録しました」とご連絡をいただき,個人的にチュートリアルを行いました。今後もレクチャーの内容をアップデートしつつ,草の根運動的に普及活動を行っていこうと思います。
スライドを何枚か抜粋しつつ,レクチャーを振り返りたいと思います。
臨床医のためのAI入門 Ver. 202401
基本知識
(図はDALL-Eが生成したでたらめなベン図です。)
AI関連の情報は横文字が多く,まず用語を把握するのに一苦労です。現在巷で巻きおこっている生成系AIブームは大規模言語モデル(Large language model: LLM)の躍進が中心にあり,その周辺の用語の整理を説明しつつ,これまでのAIとの違いやLLMにできること,できないことことについてまとめました。
また,LLMはそれっぽい嘘を付くHallucinationと呼ばれる現象が知られており,生成された文章を鵜呑みにせず,必ず情報源の確認が必要であることは強調して話しました。
「LLMとはなにか?」については以下のリンク内に埋め込まれている東京大学 松尾豊先生の「AIの進化と日本の戦略」というスライドが大変わかりやすくまとまっています(以下のリンク記事中に埋め込まれています)。

なぜ今AIについて学ぶのか?
ChatGPTを始めとするLLMを基盤とする生成系AIの台頭は,医療分野でのAI活用の議論を一気に加速させました。2023年3月にNEJMが大々的にAIについて取り上げたのは記憶に新しいですが,既に国内外の医学誌でも様々なエビデンスやアプローチが提示されており,今後AI関連の研究や臨床応用についての情報はどんどん増えていくでしょう。
AI関連の話題は,数ヶ月が数年に感じるスピード感でアップデートされていきます。このスピード感のままいくと,数年後には誰でも容易にアクセスできる標準化されたプラットフォームに生成系AIが組み込まれ,もはや無意識のうちに臨床医が生成系AIを使いこなす時代が来るかも,などと思いつつも,「実用性があることはわかったけど,まだ用途が限られている」(=勉強しやすい)今のうちに使い慣れておくことはきっと役に立つと信じています。
ChatGPTの使い方やAIを用いた医学情報検索についてはまた別の記事を作りたいと思います。
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