先日「Hospitalist 透析診療のすべて」が発売され,「透析患者への問診・診察」という項目の執筆を担当しました。
自分は研修医時代からHospitalistを読んで勉強していたので,執筆のお話を頂いたときはとても嬉しかった反面,掲載に値するクオリティの文章を書けるか不安も大きかったので,完成した書籍を受け取ったときは感無量でした。また,記事を読まれた先生方からもお声掛け頂いて胸をなでおろしています。
自分は普段から透析患者さんの診療を行っており,臨床マネージメントに必要な透析診療の基本知識は習得しているつもりでしたが,総説を書くというのは当然ながら全く別次元の情報量が要求され,一連の執筆プロセスを経て抜本的な知識のブラッシュアップと自分の診療についても見直すことができ,大変勉強になりました。
執筆についてはまず構成についてかなり頭を抱えましたが,救急・初診外来,病棟,慢性期とセッティングを分けて,それぞれ緊急度,重要度の高い問診,診察にフォーカスした構成にしました。一つ一つのトピックについてどこまで深堀りするべきか,というのも大変悩みましたが,これは普段の日常臨床を思い返して,「内科レジデントがこれだけわかっていれば安心して透析診療に参加させてもらえるだろう」という内容に落とし込みました。
透析診療の特殊性として,国内外でリソースや医療システム,ひいては疫学が異なるため,国内外の主要なガイドラインに加え,本邦での透析診療の実際に即した内容にするため英文誌のみならず和文誌からも引用するよう心がけました。結果的には引用文献56本とやや数の暴力を感じる分量になりましたが(文献レビューも気が遠くなるような作業でした笑),非透析専門医が診療にあたるうえで必要な知識を網羅的に盛り込むことができたのではないかと自負しています。記事を読まれた方がいらっしゃれば,是非感想やフィードバックを頂ければ幸いです。
今年はあと数本商業誌への原稿掲載を予定しているのですが,出版社とのやり取りや校正作業に関するお作法みたいなものは意外とインターネットを探してもドンピシャで欲しい情報が載っておらず,周囲の先生方に尋ねながら手探りでチャレンジしてみましたがとても良い経験になりました。自分もまだまだ執筆初心者ですが,こういったノウハウもまとめていけたらと思っています。
今回の執筆に当たりご指導いただいた先生方に感謝を申し上げます。
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