久々に本をタイトル買いしました。
執筆,研究の生産性向上について,素人ながら思いを馳せていたところでこの本の存在を知りました。米国の心理学者の先生が執筆された本で,全体を通してシニカルなユーモアと核心をついたコメントが満載でした。
「文章の生産性は才能ではなく,身につけられるスキル」というまえがきに違わず,自分がいま必要としているノウハウが詰まっていて大変学び多き一冊でしたので紹介したいと思います。

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか
タスクリストの作成,優先順位付け,進捗管理を行う
最近,臨床業務や自身の執筆作業と並行して後輩や同僚の発表,執筆など複数のプロジェクトに携わるようになり,タスク管理の必要性を感じ始めたためNotionを活用しています。
以前は目の前のタスクに固執して効率が悪くなってしまうこともしばしばだったのですが,タスク管理ができるようになってからはあるタスクが行き詰まっても気分転換に別のタスクをこなすことで1日にこなせるタスク量は増えたように思います。副次的ですがタスクの進捗を可視化できる様になり,達成感を感じやすくなりました。
タスク全体の優先度を考慮するのはもちろんですが,時間帯によってタスクの内容を変える(例えば集中力があるときに考える作業を,疲れたときに単純作業や好きな作業を,といった感じでこなすべき作業を変えていく)のも有効だと思っています。
まずは書く,それから直す
この本の著者は文章を0から書くのと,書いた文章を修正するのは全く別の作業であること,最初から完璧な文章を書くことを目指すのではなく,まずはメモ書きでも良いから毎日書いて,推敲を繰り返すことで確実に完成させていく重要性を強調していました。
「いきなりスライドを作り始めず,タイトル,アウトラインから作ると良いよ」
というアドバイスをもらい実践していますがこの本にも同様の記載がありました。アウトラインを意識することで,自分が執筆全体の何割ぐらいを完了しているのか把握するのはタスク管理において重要だというメッセージのようです。
溜め込まない,言い訳をしない
“一気書き(気が向いたときに一気に書く)をしない”
“「時間さえあれば書けるのに」という言い訳をしない,必ず執筆時間を確保し習慣化する”
“スランプになるのはスランプの存在を信じる人だけ”
というメッセージは大変耳が痛かったです。。。学術論文は芸術作品とは違い,研究立案から論文投稿までのタスクが明確なため,スケジュール管理を徹底することで,必ず完成までたどり着けるというメッセージと解釈しました。
執筆サポートグループに参加する
研究や論文執筆のことを気軽に相談できる人がいない,というのは今まで自分の中で大きな悩みでした。最近は国内でも論文執筆サポートグループが増えてきていて,誰にでも門戸が開かれているのはありがたいことで,自分も早くから参加しておけばよかったと後悔しています。
大前提として,「研究にチャレンジしたい」という内的モチベーションは必須だと思いますが,最近は同僚たちと手を組んでプロジェクトに取り組むことも増えてきたことで,複数名で執筆を行うことでモチベーションを維持する外的動機づけも重要と感じています。
他にも,スマートな英文を書くためのTipsや学術論文,書籍の執筆手順などテクニカルな部分の解説も充実していて,執筆や研究を行う若手の皆様に役立つ内容だと感じました。
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