私は執筆経験豊富な人に出会ったら「執筆のコツ」を尋ねるようにしています。最近様々な原稿を同時に抱えるようになり,締め切りの近いもの,重要度の高いものから脱稿していく必要があり,いよいよ効率的な執筆プロセスの必要性を実感しているためです。
同僚や上司に上記質問を投げかけると,「頑張る」「気合」などの返答が多く,パワープレイで書き上げるタイプの人が多かったように感じます。多忙な臨床業務の合間を縫ってプロダクトを生み出し続ける姿を尊敬する一方,自分は同じ方法では張り合えない,と感じました。
なかなかドンピシャで悩みを解決してくれる医学書も見つけられず,転じて「医療系以外の書籍から執筆ノウハウを探ってみよう」という発想になりました。
そんなわけでAmazonで「執筆」と検索したら上位に出てきたのがこの本で,表紙がどこか親しみやすいイラストだった,という実に安直な理由でKindle版をポチりました。(読了後に改めてググったらめ大量のレビュー記事が見つかり,執筆に携わる人達の間では有名な本だと気付きました)
「ライティングの哲学」は執筆経験豊富な4名の著者が各々の失敗体験や生みの苦しみから編み出した執筆法について座談会,エッセイ形式で語るユニークな一冊です。
などの金言が散りばめられており共感と共に目からウロコの連続でした。特にこの本の影響で
①フリーライティング
②アウトライニング
③ドラフト
④提出ファイル
のように執筆プロセスを分割する手法を実践するようになってから,執筆速度が飛躍的に向上しました。自分は現在Workflowy(①②)→Scrivener(③)を使い分けてWordで提出ファイルを作成していますが大変使い勝手が良いです。具体的な手順については今後解説していきたいと思います。
またこの本の中で言及されていた「執筆の習慣化」の重要性は以前紹介した「できる研究者の論文生産術」でも繰り返し強調されており,執筆における普遍的な課題であることを再認識しました。
自分は以前から締切前の一気書きを脱却したいという希望があったのですが,著者の先生方も締切をある程度執筆の促進材料(≒諦め)として捉えているようだったので今後もある程度自分の中で締め切りを前倒しすることで対応していきたいと思います。
「執筆プロセス」という基本的な部分にフォーカスした書籍で,自分のような執筆ビギナーにとっては大変勉強になりました。
X(Twitter),ブログ,依頼原稿,学会発表,論文などすべての執筆プロセスに応用できる内容のため,執筆に挑戦しようとしている人,自分なりの執筆スタイルを確立できず悩んでいる人にぜひ読んでほしい一冊です。
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