VExUS
VExUSあるある
VExUSの臨床的有用性についてはまだまだ検証が必要という認識ですが、VExUSを通じてそのコンセプトの礎にある静脈の生理学を理解することは急性期診療において大変重要だと思っています。
エコー手技や結果の解釈について助けになるようなVExUSあるあるを発信していきたいものです。
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 17, 2024
総論
VExUSとは
近年VExUSは静脈うっ血のアセスメントに有用と考えられるようになってきているが,まだまだ検証の余地もあり慎重な解釈に基づくマネージメントが重要。
VExUS scoreの結果を解釈するためには
①静脈還流の生理学
②先行研究のLimitation
③ピットフォールなどを理解することが役立つ。
2/2— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 22, 2024
VExUSの生理学
VExUSの生理学①:
ガイトンの静脈還流曲線について学び,その成り立ちを知ることは静脈うっ血の理解と臨床でのアセスメントに役立つ。VExUSを考案したグループもガイトンの循環平衡に基づいてVExUSの解釈に必要な生理学を説明している。 pic.twitter.com/gUn7uPeKG1
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 23, 2024
VExUSの生理学②:
静脈還流の生理学を踏まえてVExUSの結果を解釈すると,静脈うっ血には・Stressed volumeの増加
・血管コンプライアンスの低下
・大静脈血管抵抗増大
・CVP上昇など複数の要因が関与するため,静脈うっ血を覚知したら原因をアセスメントする必要がある。
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 23, 2024
国循 朔先生による循環平衡のスライドhttps://t.co/23I77pqpgM
医学事始先生がCritical Care Medicineの有名な総説を基に静脈還流の生理学を解説した記事https://t.co/l4FPsZI7ma
2/2— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 24, 2024
VExUSのピットフォール
元論文:
Quantifying systemic congestion with Point-Of-Care ultrasound: development of the venous ecess ultrasound grading system.https://t.co/B4ngCD6yIT— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 24, 2024
手技
エコー設定
VExUSあるある:エコー設定
HVとPVはセクタでも可,IRVはコンベックスがおすすめ(適宜使い分ける)。
心エコーと異なり低速な静脈系の計測のため事前にスイープスピード(50-60mm/s),ドプラスケール(20-30cm/s)を調整する。もしくは腹部プリセットに変更する。
S,D波鑑別には心電図同期が重要。
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 17, 2024
ビームの角度補正
VExUSあるある:角度補正の重要性
(VExUSに限らず)ドプラエコーは血流とビームの角度がずれると流速が過小評価となるため,許容される誤差は20度までといわれる。
ビームと平行な血流描出が困難な場合は角度補正機能(Angle correction)を使用する。
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 18, 2024
波形描出のポイント
VExUSあるある:きれいな波形は?
PWはきれいに描出できると波形の辺縁が白く,内部が黒く抜けたようなグラデーションになる 。
(2枚目のHV波形がお手本) https://t.co/ZVD4wKnNJq— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 18, 2024
呼気終末で測定する
VExUSあるある:呼気終末波形で評価
息止め中がベストだが,できなくても数秒間体動が減るので評価しやすい。呼吸サイクルを2,3周観察しながらPWしていると波形描出できるポイントを見つけられる。
IRVが一番描出難しい。
吸気時は胸腔内圧上昇しVExUS score高くなる可能性があり評価に使わない。
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 19, 2024
IRVはパワードプラを活用
VExUSあるある:IRVの評価はPDI+PWを活用!
CDIは血流方向を視覚的に把握できる反面,低流速や角度のズレが大きい波形の描出が難しい。
PDIは信号強度を反映した単色のグラデーションだが詳細な血管描出が可能。
CDIでIRV描出がうまくいかない場合はPDIを試すと評価できるかもしれない。 pic.twitter.com/BsrL22pjM1
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 21, 2024
手技まとめ
VExUSあるある:VExUS手技まとめ
おなじみNephroPOCUS先生のこちらのツリーにポイントが動画付きで網羅されている(28本の圧倒的情報量!)。
計測がうまくいかないときは①エコーの設定
②基本断面の描出
③ドプラの描出のどこでつまづいているかを把握して,当該ポストで復習するのがおすすめ。 https://t.co/EQVMHY9iD3
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 19, 2024
解釈
HVとPVの見分け方
VExUSあるある:HVとPVの見分け方
剣状突起下,右肋間の2箇所から描出できる。HVは三本の分枝が画面下方でIVCと合流し,PVはIVCへ合流せず画面右手から肝内に入っていく。
カラーでHVは青(プローブから遠ざかる血流),PVは赤(近づく血流)として観察できる。
最終的にはPWの波形で判断可能。 https://t.co/51yD86Cz3R
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 20, 2024
IRVとは
VExUSあるある:IRVってどこ?
葉間静脈,弓状静脈など腎臓内の静脈を指す。動脈(赤),静脈(青)の走行が区別できるようカラースケールを20-30cm/sに調整し,ビームと平行な葉間静脈にサンプルボリュームをあてる。
呼吸の影響を受けやすく,呼気終末の息止めと細やかなプローブ動作が描出の鍵。 pic.twitter.com/lgvYhUiRlu
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 20, 2024
VExUSまとめ
VExUSは発展途上なコンセプトのため,あくまで静脈うっ血における臨床所見の1つとして結果を解釈するべきですが
①安定してエコー波形を描出できる
②VR/CO曲線がイメージできるなどを目標に頑張るとPOCUS技術向上,静脈生理の理解という普遍的なスキルに繋がると考えています。
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) December 26, 2024
ホスピタリストコミュニティ VExUSレクチャー/資料集
VExUSのトレーニングを通じて静脈還流の生理学,細やかなエコー設定や描出技術を学ぶ重要性についてお話しました。
Facebookホスピタリストコミュニティでスライドをダウンロードできますので皆様気軽にご参加ください!
↓リンクはこちらhttps://t.co/OR1L6C57h2 https://t.co/t66CM1ftXa
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) April 25, 2025
レクチャーの最後にVExUS修得や静脈還流の生理学を理解するために役立ちそうな資料をまとめました。
↓URLはツリーにて 1/3 pic.twitter.com/UlXiFalGaP
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) April 25, 2025
その他
EHJCC: AKIの輸液戦略
個人的論文ポイント
①AKIの輸液戦略では病態生理を把握し輸液反応性と認容性を評価する②LVOT VTI(→CO)+VExUSなど,POCUSによる血行動態評価を行う
③腎灌流改善のためにノルアドレナリンよりもバソプレシンが有効な状況は?
④ARDS,IAH,systemic venous congestionを合併している場合は?
2/3— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) July 27, 2024
輸液プラクシス
VExUSの解説を読める日本語書籍はまだ珍しいかも!?
発売が楽しみです! https://t.co/8VNvtyMeZ9
— Yohei Masuda (@YoheiM_MD) November 15, 2024
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