Residents as Teachers fellowship 夏の対面セッションを開催しました

Education

Residents as Teachers fellowship,通称RaTsの対面セッションに企画・運営として参加しました。

RaTsは専攻医などの若手医師が学年の近い後輩に指導を行う,いわゆるNeer peer teaching (屋根瓦教育とも言います)に特化した教育手法を学ぶためのコースです。現在は卒後3~8年目の医師を対象にオンライン,対面セッションを織り交ぜて開催しています。

 

私は専攻医時代に所属プログラムのチーフレジデントを行うことになり,以前から医学教育の理論を学んでみたいという思いもあったことから卒後5年目でこのコースを受講しました。それまでは漠然と「後輩に教えることは好きだが,どうすれば自分のティーチングを改善できるのかわからない」と感じていたのですが,RaTsを通じて医学教育の理論を学ぶことで自分のうまくいっていた部分,いなかった部分が明確になり,その後の臨床教育の実践につながっている気がします。
またRaTsに参加したことで,自分のように後輩指導のやり方がわからず困っている若手医師が日本中にいるということを実感し,少しでもお手伝いできればと思ったことがきっかけで今に至るまでインストラクター,運営として参加を続けています。

 

今回は通常のセッションとは異なる番外編で,「EBM教育」「医学教育研究」という2つのテーマについてワークショップ形式で議論を行いました。

EBM教育のセッションでは,飯塚病院で長年EBM教育を行われている工藤先生,柴田先生をお招きし学習者の臨床経験・習熟度に応じたEBM教育の方法や情報検索の原則,指導医としての学習者をサポートする方法を学びました。
EBMのフレームワークや,実践の仕方についての指南書は世の中にたくさん存在するのですが,「EBMの教え方」について学べる資料は意外と少ないため,今回のワークショップは日頃実践しているEBMとは切り口の異なる,とても新鮮な内容に感じました。

医学教育研究のセッションでは,RaTs主宰の一人である九州大学医学教育講座 菊川先生から日常の教育の中で生まれる疑問がどのように研究アイデアになっていくかという思考過程と,実際に用いられる質的研究の手法をワークショップ形式で学びました。最後に,RaTsへの参加を経て現在医学教育研究に取り組んでいるRaTsインストラクターの二人から,活動報告がありました。


自分も専攻医教育を行うようになり数年が経ちますが,屋根瓦許育のやり方,というのはなかなか自施設で時間を確保して教えるのが難しく,若手指導医にRaTsのようなパッケージ化されたプログラムに参加してもらうのは現実的な解決策と感じています。今後もより良いプログラムを提供できるように微力ながらRaTsの活動に参加したいと考えています。

今後RaTsへの参加を検討している若手医師,もしくは所属プログラムの若手医師をRaTsに参加させたいと考えられている指導医の皆様,毎年3月頃に告知を行っていますので,是非ご応募いただければと思います。

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